『モモ』
『おまえに答えがわかるかどうか、たのしみだな。よく聞くんだよ。3人のきょうだいがひとつの家に住んでいる。ほんとはまるでちがうきょうだいなのに、おまえが3人を見分けようとすると、それぞれたがいにうりふたつ。
一番うえはいまいない、これからやっとあらわれる。
2番目いないが、こっちはもう家から出かけたあと。
3番目のちびさんだけがここにいる、
それというのも、3番目がここにいないと、
あとのふたりは、なくなってしまうから。
でもそのだいじな3番目がいられるのは
1番目が2番目のきょうだいに変身してくれるため。
おまえが3番目をよくながめようとしても、そこに見えるのはいつもほかのきょうだいだけ!
さあ、言ってごらん、3人はほんとうにひとりかな?
それともふたり?
それとも - だれもいない?
さあ、それぞれの名前をあてられるかな?
それができれば、3人の偉大な支配者がわかったことになる。
彼らはいっしょに、ひとつの国をおさめている-
しかも彼らこそ、その国そのもの!
その点では彼らはみなおなじ。』
『モモ』より ミヒャエル・エンデ作 大島かおり訳